column 03


元旦...


ホージーが生後6ヶ月になったという頃、ひとつの重大な決心を
しなくてはなりませんでした。
それは、避妊手術のことです。
ホージーは私にとって、生涯3匹めの猫なのですが、
以前の猫たちはいずれも私が子供の頃に暮していた猫達で、
つまり、そういったことも含め、経済的な負担等もすべて
家族の他の誰かがやっていてくれてたわけで、私は、単に
美味しいとこどりで、ただかわいがっていればよかったのでした。
しかし、今回は、私と妻で責任を持つわけですから、
自分達で判断し、当然ながら、すべての負担を負わなくては
ならないわけです。
いざ、決断しなければならない時になると、自分たちが、
「飼う」という勝手な都合のために、このコの体を傷つける
ようなことをしてもいいのだろうか?はたして、このコにとって
幸せなことなんだろうか?...と、ずいぶんと悩みました。
しかし、ペットを許可してもらっているマンションとはいえ、
サカリの時期に毎回大きな鳴き声を発せられても困るなぁと
いう思いもありました。結果的には、最初のサカリを向える前に
手術を済ませた方が、猫にとってもつらくないというドクター
からのアドバイスに後押しされる形で、手術をすることを決心
した次第です。
手術当日、私はどうしても仕事の都合で付き添うことができず、
すべての対応を妻に一任することにしました。立ち会って手術室
の片隅で様子を見ていた妻の話によると、手術は思いの外あっさり
したもので、ものの30分もかからなかったようです。とはいえ、
手術は手術ですから、術後の経過のこともあり、そのまま1泊2日
の入院となりました。
退院の日、迎えに行くとブルーのカラーを首に巻かれ、ややシュン
とした様子のホージーがいました。そして、お腹に目をやると、
こっけいな程に毛を剃られ、むき出しになったピンクのお腹に
見事なタテの縫い目がありました。ちょっと笑ってしまいそうな
姿ではありましたが、やはり縫い目を見ていると痛々しく、改めて
手術したことについて複雑な思いがこみ上げてきました。
...が、済んだことを今さら考えても仕方がない思った時点から、
今度は、この縫い目はどのくらい目立たなくなるんだろうか...という
違った心配に変わりました。
退院後、首に巻かれたカラーが気に入らない様子で、何度も
後ずさりをしたり首を降ったり、両足でひっかいたりと激しく
もがいていました。そんな様子を見ていた私たちは、放って
おけなくなり、退院後2日目にはカラーを外してあげたのでした。
おかげで、ようやく落ち着きを取り戻し、もがくことはしなく
なったのですが、今度は案の定、傷口を舐め始めました。そして、
傷口が開くことを懸念し、できるだけ舐めさせないようにと注意を
払って過ごすこと5日目くらいでしょうか、ちょっと目を離したすき
に私たちの背後で「プチッ」とか「カリッ」とかいう音がするでは
ありませんか。ハッとしてホージーに目をやると、なんと彼女は
見事に自ら抜糸を始めていました。「ヤバイッ」と思った時には
もう遅く、明らかに3、4針分くらいは糸がかみ切られていました。
傷が治ってきている時の痒みがそうさせるようで、その後も、何度も
かみ切ろうとします。このままでは、傷口が開いてしまうのではと
心配した私たちは、仕方なく予定よりも早い段階で再び病院へと
彼女を連れて行くことになったのでした。
病院へと足を運んだこの日、忘れもしない1998年1月1日...
そう、
その日は元旦でした。「おいおい、今日は元旦だぞ!今年は
いったいどういう年になるんだ?」私たちの心配をよそに、
予定よりも早い抜糸を済ませることに成功したホージーは、
満足げに、
まだまだ生え揃わないお腹の毛のグルーミングに
いそしんでいるのでした。



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