「3本足のアン」
アンがうちの子になったのは、2012年6月15日のこと。7か月前に17歳3ヶ月で逝った、愛するフィガロの事をまだ忘れられずに、フィガロに話しかけながら毎日散歩していた。その道はいつもフィガロが途中までついてくる道で、思い出が詰まっていた。
そしてその日は、虫の知らせかいつもは通らない自動車道を通った。片側1車線で、歩道も無く恐いので、滅多に通らないのだが、虫の知らせか?そこに導かれるように足を向けた。
どこかで子猫の声がすると思って探すと、車道の脇の溝で子猫が鳴いていた。拾い上げると、左手の先が切断されていた。農機具のような物で切られたようで、指から先がなかった。
きっとフィガロが「この子を助けてあげて」と私を導いたとしか思えなかった。
手のひらに載せて連れて帰った子猫をモモ(フィガロのお母ちゃん)に見せると、子猫の頭をぺろりとなめてくれた。「よかった!モモも認めてくれた」と安心した。
翌日、お医者さんに連れて行き検査を受けると
「白血病陽性です。」と。
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まぁ、この子はこの小さい体に色々なハンデを持って生きていくのだなと涙が出た。
手の方は「即、肩から切り落とすことをお勧めします。」と言われたが、この小さい体をこれ以上痛めるのは嫌だったので、何とか傷を治して義足でも付けてあげたいと断わり、ただ、白血病陽性のアンと高齢のモモを一緒にすることは出来ず、同じ家の中で2匹を別々の部屋で飼うという苦難の道が始まった。
あの日から1年目に、アンは色々治療の末、結局左手は肩から切断したが、3本足で駆け回るやんちゃでお転婆な子に育った。
時々はモモと庭を散歩したりして家族を持つことも出来、去年の暮れ、モモは我が家に来て19歳3ヶ月で家族に見守られながら旅立った。
アンは今まで飼った子の中で一番のおてんば娘。
庭を駆け回るときは、捕まえようにも追いつけない。先代猫たちが眠る桜の木に登り、何かを話しているのか空を見上げている。
終わり
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